平成23年度研究主題
「生き生きと 進んで学び合う子どもの育成」 ~ 学ぶ対象と出会い,学ぶ仲間と対話し,自分と対話する ~
主題設定の理由
本校では、全学年を通して30人弱と1学級に占める児童数が多い。
そのため、TTによる個に応じたきめ細かな指導を実施してきてはいるが、
教師の指導が子どもたち一人一人に十分行きわたっているとはいえず、
児童間での学力の差も大きくなっている学級も見られる。
中には、発達障害的傾向の見られる児童が複数いたりする学級もあり、
学級経営そのものに困難を来していた例もある。
そのため2年前から、教師主導型の一斉指導はできるだけ避けて、
全教科にわたって子どもたち同士のかかわり合いを大切にした「学び合い」
を取り入れ、指導方法の工夫改善に取り組んでいる。
本校では、「学び」の世界は対話と発見の世界だと考えている。
学校という学びの場では子どもたちは学ぶ対象と出会い対話し、
仲間と対話し、そして自分自身と対話する。
これが、「学び合い」だと考えている。
「学び合い」を通して子どもたちは学ぶ対象から、仲間から、そして
自分自身の中から、新たなものの見方、考え方、感じ取り方、やり方を
発見し、自分のものにする。そして、それらを活用し応用しながら、
子どもたちは未知の世界に意欲的に挑戦し、自分の世界をどんどん広げ、
豊かに深めていく。子どもたちが学力をつけ、成長していくとは、
そういうことだと考えている。
そんな子どもたちの「学び合い」を、本校では,特に「学び合う学び」
と呼んでいる。
本校では、言語活動(コミュニケーション)を、言語使用をともなわない
子どもたちの顔の表現、つぶやき、身振り、合図、視線の一致なども含めて、
広く捉えている。これらは、お互いの心と心が通い合う言語使用をともなう
コミュニケーションを支えるものであり、授業では、特に大切にしなければない
と考えている。
子どもたちの「学び合う学び」を大切にする授業では,教師は「話す」ことで
はなく,「聴く」ことを最優先にしなければならいと考えている。子どもと教師
との,あるいは子どもたち同士の聴き合う関係を築くことを大切にしている。
したがって,座席を基本的に黒板に向かってコの字型の配列にし,子どもたちが
向き合い,お互いの表情が見えるようにしている。そうすると,一斉でも自然に
子どもたち同士の聴き合い,「学び合い」が触発され,言語活動(コミュニケー
ション)を媒介にした教師の「聴く,つなぐ,もどす」授業コーディネイト力が,
発揮しやすくなる。授業コーディネイト力とは,教師が,発言した子の内容に関
わって,別の子に発言を求めてつないだり,その発言の根拠を求めて「どこから,
そう思ったの」とテキストにつないだり,別の子の前の発言にもどしたり,同じ
子の前の発言にもどしたりしながら,子どもたちの「学び合う学び」をどんどん
広げ,豊かに深めていく力だと考えている。
授業の前半で課題や個人作業や考えを「共有」するときや,後半でよりレベル
の高い課題に挑戦するとき,男女各2名ずつの4人グループになり,子どもたち
が「学び合い」をする場面を意図的に設定している。この後半での「学び合い」
では,ヴィゴツキーの「発達の最接近領域」理論により,未知の力が仲間によっ
て引き出され,子どもたちの「学び」に「ジャンプ」が生まれ,お互いが高いレ
ベルまで引き上げられるのを期待している。一斉での「学び合い」,グループで
の「共有」の「学び合い」,そしてグループでの「ジャンプ」の「学び合い」,
この3つを,教師が1時間の授業で効果的にデザインしながら,より質の高い
「学び合う学び」を追求し,子どもたちの学力の向上,そして,大きな成長につ
なげていきたいと考えている。
研修構想図(クリックすると大きな画像で見られます)
